ここ10年ほどでしょうか、「紫外線は絶対悪!」と言わんばかりの対策が当たり前になってきました。
シミ予防や皮膚ガン予防のためと、ウォーキングでも目元以外を完全に覆い隠した、まるで忍者のような姿の女性をよく見かけます。

でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。紫外線を徹底的に避けた結果、待っているのは「骨粗鬆症」という大敵です。

高齢期を迎えたとき、「顔のシミが少し増えること」と「骨がスカスカになって折れやすくなること」、本当に怖いのはどちらでしょうか。

他人の顔のシミを細かくチェックしている人なんて、実はそれほどいません。それよりも、紫外線対策を完璧にした結果、骨がもろくなって身長が縮んでしまったり、転んで一発骨折、そのまま車椅子生活……なんて事態になる方が、よほど恐ろしいと思いませんか?
現時点でも、骨粗鬆症の高齢者が非常に増えていると言われますが、これは「日光を避けすぎたツケ」が出ているのかもしれません。

化粧品会社や美容医療の広告に踊らされず、人間の体に必要なものを見極めたいものです。

私たちが子どもの頃は、「日に当たらないと『くる病』になるぞ」と叱られたものです。今のパソコンで「くるびょう」と打っても一発で変換できないほど過去の病気になったかと思いきや、なんと最近、乳幼児の「くる病」が増加しているそうです。

中野区医師会の情報によると、母乳のビタミンD不足などが原因で、その背景には「極端な紫外線対策」があるとのこと。
中野区医師会「増加する乳幼児の『くる病』」
シニア世代の骨折予防はもちろん、子どもや孫の世代のためにも、「太陽の光を浴びる大切さ」をもう一度見直す必要がありそうです。

いくら歩いても無駄になる!? 医師が断言する「毎朝の最重要習慣」

日光不足のリスクは、骨だけに留まりません。 長尾和宏医師によると、日光を避ける生活は骨粗鬆症だけでなく、なんと「認知症」のリスクにも関わってくるそうです。
プレジデントオンライン「美容のために太陽光を避ける」は逆効果…医師「ヨボヨボの70代にはなく元気な90代に共通する生活習慣」 長尾 和宏 著

記事の中で長尾先生は、人間の体内時計をリセットし、心を穏やかにして脳を活性化させる神経物質「セロトニン」は、「朝、太陽の光を浴びること」で一気に作られます。どれだけ熱心に歩いて運動しても、紫外線を極端にガードして暗闇の中で運動しているような状態では、この大切なセロトニンが分泌されず、健康効果が得られないというのです。

元気な80代のヘルパーさんや、ゴルフ場で見かけるハツラツとした90代の男性は、みんな少し日焼けした良い表情、いわば「セロトニン顔」をしていると指摘しています。家庭菜園やゴルフなど、太陽の下でアクティブに活動している人こそが、本当の元気を維持しているのですね。

美容のための過剰なガードはやめて、イキイキとした「セロトニン顔」で歩く。
これこそが、80代、90代になっても元気に自立して生きる秘訣ではないでしょうか。

さらに長尾先生は最新の記事の中で、「太陽の光を浴びなければ体内でビタミンDがうまく生成できず、睡眠時無呼吸症候群になるリスクが高まる」と指摘されています。
「紫外線に当たるとシミやシワが増える、皮膚がんの原因になるなどいろいろ言われていますが、紫外線は人体に必須なものです。美容業界・化粧品業界のデメリットを強調した刷り込みに騙されてはいけません。太陽光を日常生活で自然に浴びるべきです」
「紫外線は、特にビタミンDを生成するために必須なことが分かっています。体内でビタミンDがうまく生成できずに不足すると、睡眠時無呼吸症候群になってしまうリスクが高くなります。睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、血中ビタミンD濃度が低い傾向があります。
ビタミンDの濃度は、症状の重さとも関連すると言われます。その濃度については保険診療で測れますので、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は確認してみてください。」
プレジデントオンライン「いくらウォーキングをしてもすべて無駄になる…医師が「健康のために絶対欠かせない」と断言する"毎朝の習慣"」長尾 和宏 著

【参考図書】長尾和宏 著『歩く人はボケない 町医者30年の結論』(PHP新書)